

仕訳でいつも点数を落としてしまう
簿記で大きな配点をしめる仕訳。
仕訳が苦手だったわたしは点数が伸び悩み不合格が続いてしまっていました。
しかし基礎に立ち返ることで仕訳の点数をグッと伸ばすことができ、無事に合格することができました。
こちらではわたしの体験談をもとに苦手な仕訳を克服したポイントと仕訳で間違いやすい仕訳についてお話ししていきます。
仕訳で大切なこと


まずはいろいろな方法を試して感じた「仕訳で大切なこと」について。
効果的だったと感じたことをひとつずつお話ししていきます!
5大要素をイメージできるようにする
ひとつ目は5大要素を反射的にイメージできるようにすることです。
5大要素とは「資産・負債・純資産・収益・負債」の5つのことで全ての勘定科目はこの5つの要素のいずれかに属します。



たくさんありすぎて覚えられない…
頭では大切なことを分かっていましたが、覚えることが多くおろそかにしてしまっていました…
しかし5大要素の基本の概念に立ち返れば難しいことはありません!
5大要素の基本の概念
▪️資産…(将来)お金の増加をもたらすもの
▪️負債…将来お金の減少をもたらすもの
▪️純資産…資産と負債の差額
▪️収益…事業活動の成果によって入ってきたお金
▪️費用…収益を得るために費やされたもの



受取手形は資産なのに受取利息は収益なのはなぜ?
受取〇〇=収益と単純に覚えてしまっていると、こんな疑問が出てくるかもしれません。
そんな時でも受取手形は「将来お金の増加をもたらすもの」、受取利息は「事業活動の成果によって入ってきたお金」というように5大要素の概念にそって整理していけば難しく考えずに覚えられます!
また経過勘定(前払前受・未収未払)も、将来お金を増減させるどちらかになるのでその感覚で考えれば丸暗記することなく覚えられます。
問題を正しく理解する
ふたつ目は問題を正しく理解することです。
仕訳では同じ問題が出てくることもよくありますが、ちょっとだけ内容を変えて出題されることもあります。



見たことある問題だから大丈夫!
と問題をちょっとみて判断し、焦って解くのは禁物です。
主語は何で何をしたのか、また登場する企業は何社あって当社はどんな立場なのか、文章が長く読み解くのが難解な文章は必ず図にするように心がけていました。
ex.1 ) 経過勘定の場合


ex.2 ) 為替手形の場合





仕訳は配点が高いので、必要な場合は図を書いて慎重に解いていくのがおすすめです!
なるく暗記をしない
「苦手な仕訳を克服できた一番のポイント」と感じていることはなるべく暗記をしないことです。
今までお話ししてきた2つに共通することですが、問題をしっかりと読んで理解し5大要素の概念に立ち返って仕訳をすることで大きく正答率を上げることができました!
暗記に関しては賛否両論ありますが、特に1級や会計士などを考えている方は理解して進めていくということをおすすめします。



2級の考え方は次のステップの基礎になります!
仕訳で間違いやすいポイント5選


ここからは仕訳で間違いやすいポイントについて。
簿記を10年勉強しているわたしが特に分かりにくいと感じた5つにいてまとめました。
・銀行勘定調整表
・リース取引
・受取配当金と有価証券利
・不渡手形
・値引と割戻の違い
銀行勘定調整表



どれが仕訳が必要なのかいつも分からなくなる…
企業側の当座預金残高と銀行側の企業残高証明書が一致しない場合、必要に応じて仕訳をして不一致を解消します。
企業側に原因がある場合は仕訳をし、銀行側に原因がある場合は仕訳をしません。
企業側(要仕訳) | 銀行側(仕訳なし) | |
連絡未通知 | ○ | |
誤記入 | ○ | |
未渡小切手 | ○ | |
時間外預入 | ◯ | |
未取付小切手 | ○ | |
未取立小切手 | ○ |
未渡小切手、未取付小切手、未取立小切手がイメージしづらいので言葉の意味を整理しておきます。
似たような言葉が多く出てきて丸暗記しようとすると大変ですが、不一致の原因となる取引に企業が関わっていない場合は仕訳をしないと考えると覚えやすいです!
また未渡小切手は通常逆仕訳をして修正しますが、費用と商品以外の資産の場合は「未払金」で処理をします。
未渡小切手の内容が費用の場合
費用は支払った時点で発生していて、これを逆仕訳してしまうと当期の費用が正しく計上されなくなってしまいます。よって未渡小切手の費用を修正する場合は「未払金」で処理をします。
ex.)
支払い時:広告宣伝費 ×× / 当座預金 ××
修正仕訳:当座預金 ××/ 未払金 ××
リース取引



仕訳をするタイミングとパターンが多くて覚えられない
リースにはファイナンス・リースとオペレーティング・リースがあります。
ファイナンス・リースは実質的には固定資産を割賦購入した売買取引で、資産として計上し減価償却を行います。
それ以外のオペレーティング・リースは固定資産を借りている賃貸借取引と見ることができ、発生額を費用処理します。



考え方が分かれば、仕訳を丸暗記する必要もなくなります!
契約時 | 支払い時 | 決算時 | ||
ファイナンス・リース | 利子込み法 | リース資産 ×× / リース債務 ×× | リース債務 ×× / 現金等 ×× | 減価償却費 ×× / リース資産減価償却累計額 ×× |
利子抜き法 | リース資産 ×× / リース債務 ×× | リース債務 ×× ・支払利息×× / 現金等 ×× | 減価償却費 ×× / リース資産減価償却累計額 ×× | |
オペレーティング・リース | − | 支払リース料 ×× / 現金等 ×× | − |
受取配当金と有価証券利息



受取配当金と有価証券利息って何が違うの?
一連の勉強を終え、問題を解いているとこんな疑問がわいてくるかもしれません。
明確な説明されていないテキストもありますが、この二つには下記のような大きな違いがあります。
計算が正しく計算が勘定科目を間違えてしまうということもあります。



勘定科目の意味を正しく覚えましょう!
不渡手形



不渡になった受取手形は不渡手形勘定に振り替えるだけじゃないの?
既に裏書譲渡したときや銀行で割引した時には振出人に代わって支払いをします。
値引と割戻



どちらも同じ意味じゃないの?
「価格を下げる」という意味では同じ値引きと割戻。しかし簿記では下げる理由によって勘定科目を区別します。
仕入値引、売上値引、仕入割戻は値引額を逆仕訳するだけですが、売上割戻は2022年より収益認識基準により考え方が変わっているので注意してください!
【収益認識基準による売上割戻の考え方】
販売時:割戻されると見込まれる金額を「返金負債」として計上
売掛金 ××/ 売上 ××・返金負債 ××
割戻成立時:条件を達成し割戻をするときは負債を減少させる
返金負債 ×× / (現金・未払金等) ××
割戻不成立時:条件を満たさず返金にならなかった場合は「売上」として計上
返金負債 ×× / 売上 ××
また以前は2級の範囲でしたが、2022年から1級の範囲になっている「割引」という考え方もあるので2級の次のステップを考えている方は頭の隅に入れておいてください。
▪️割引…支払期日前の一定期間内に買い手が代金を支払ったときに代金を割引くこと
考え方に着目して苦手意識をなくしていきましょう♪
苦手な仕訳を克服したポイントと間違いやすい仕訳についてお話ししてきました。
・5大要素をイメージできるようにする
・問題を正しく理解する
・なるべく暗記をしない
暗記も一つの手段ではありますが、考え方に着目することで暗記をするより楽に解けるようになることもあります。



つまずいた時こそぜひ基本に立ち返ってみてください♪